免疫グロブリン

免疫とは体内に侵入した異物を認識し、体から速やかに排除する生物の大切な仕組みです。このため、私たちは簡単には病気に罹らないようになっていますし、仮に罹っても治り、それ以降同じ抗原性のウイルス性感染症には罹りにくくなります。

腸管は食物を消化吸収する大切な仕事をしていますが、腸管の役割は食べ物の消化吸収だけではありません。病原体は、粘膜や皮膚の傷口などから体内に侵入しますが、体の中で最も病原体が侵入しやすい場所は、広げるとテニスコート1面分にもなる小腸粘膜です。腸管は最も病原体の侵入しやすい場所であるため、病原体の侵入を防ぐために、体内のリンパ組織の6〜7割が集まっているといわれています。腸管では必要に応じて抗体が作られ、リンパ球が活性化され、全身の免疫を活性化させる重要な器官でもあります。

この腸管特有の免疫システムにより、口から摂取された全ての物質は、生体に無害な物質と病原体やアレルギー抗原などの有害な物質に選別され、生体に有害または必要のない物は排除されます。この腸管における免疫システムのことを、一般的に腸管免疫と呼んでいます。したがって、腸管免疫の低下により、アレルギーや感染症のリスクが高くなるなどの様々な障害が生じるため、腸内環境を整え、腸管免疫を維持することは非常に大切なことなのです。

免疫の中で大きな役割を担っているのが生体内で産生される抗体です。抗体は免疫グロブリン(Immunoglobulin、略称Ig)とも呼ばれ、血液中や組織液中に存在しています。免疫グロブリンには、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があり、それぞれの分子量、その働く場所・時期にも違いがあります。例えば、アレルギーに一度かかるとそのアレルギーに対するIgGが作られ、その人は二度とそのアレルギーに罹らずにすみます。

ミルク-IgGとはその名の通り、ミルクに含有されるIgGのことを言います。IgGは上記の免疫グロブリンの中で、人間の胎盤を通過できる唯一のタイプであり、自分の免疫系を確立する生後1週間までの間、赤ちゃんを守っているのです。

経口で免疫グロブリンIgG を摂取することで、病原体の侵入を未然に防ぎ、さらに、腸の免疫を活性化することができます。赤ちゃんは、母乳中に含有される免疫グロブリンIgGやラクトフェリンを摂取することによって、さまざまな感染から守られていますが、免疫グロブリンIgGやラクトフェリンの摂取は赤ちゃんのみならず、全ての人の「日常の健康維持」や「加齢による免疫低下防止」などに役立つと言われています。