フコイダン

フコイダンとは、1913年にスウェーデンの大学教授 Kylin氏により昆布などの褐藻類の粘質物から発見され、彼によって「フコイダン」と名づけられました。食べることのできる海藻類の中で、特に褐藻類であるモズク、昆布、わかめ、ヒジキ、メカブなどに含まれるヌルヌルした成分です。なかでも、モズクには「フコイダン」の含有量が、他の海藻類に比べてたいへん多いことがわかっています。

フコイダンは 硫酸化多糖体の一種です。硫酸化多糖体というのは、糖がいくつも結合しあって、くっついたもの(多糖体)に、さらに硫酸基という成分が結合したものをいいます。

多糖体というと、アロエに含まれるムコ多糖体やアガリクスに含まれている β - グルカンなどがよく知られています。フコイダンも同じく、たくさんの糖がつながりあった多糖体で、主な成分としてはフコースを中心にガラクトース、キシロース、ウロン酸、などで構成されています。

アロエに含まれるムコ多糖体や、アガリスクに含まれているβグルカン、イネ科の植物に含まれるアラビノキシランなどのほかの多糖体と、フコイダンが、大きく異なる点としては、フコイダンは【硫酸基】を含むという点があります。

フコイダンには、アポトーシス作用が報告されています。アポトーシスとは、不要となった細胞が自殺する現象で、老化して不要になった細胞や体に危険をもたらす細胞は排除するという、からだの中のプログラムのことです。

人間の体の細胞は約60兆個もあり、日々3000個以上もの細胞がアポトーシスし、生まれ変わります。しかし、なんらかの原因で遺伝子情報にミスが発生してしまったり、発がん物質・活性酸素放射線などで細胞に傷がつき間違った分裂を始めてしまった細胞はアポトーシスしなくなりどんどん増殖を始めてしまいます。

この傷ついた細胞が、がん細胞になるのです。つまり、がんは自分の細胞から生まれた異常細胞なのです。(がん細胞はおよそ10万個に成長すると体に異変が起こると言われています。)

フコイダンはそのアポトーシスしなくなった異常細胞に直接アポトーシスすることを誘導します。体に入ったフコイダンががんに直接接触し、がんとなった異常な細胞を、元の正常な細胞に戻るようにうながします。そして正常に戻った細胞は、からだの中にある元々のプログラムにしたがって、老化し不要になると自殺をするのです。こうしてがん細胞は正常細胞になることによって死滅していきます。これがアポトーシス作用です。

1996年に開催された第55回 日本がん学会では、フコイダンが正常細胞には影響を与えず、がん細胞だけをアポトーシスさせる作用があるという成果も発表されました。フコイダンは、正常な細胞は傷つけることなく、がん細胞だけに働きかけるのです。