アスタキサンチン

アスタキサンチンは、鮭の身やイクラ、藻などに多く含まれるカロテノイドの一種。鮮やかな赤い色をしており、鮭の遡上の際に大量に発生する活性酸素から筋肉を守り、イクラの卵の中にあるDNAを紫外線から守るなど、非常に強力な抗酸化作用があることで知られています。この働きは私たちの人体にとっても同様。その力は、抗酸化成分として有名なビタミンEなどと比べても、少ない量で抗酸化作用が期待できるほど強力です。

大学の陸上部16名を2グループに分け、一方のグループだけにアスタキサンチンを一日6mg、4週間摂取してもらう試験を実施したところ、摂取したグループは運動後に体内で発生する疲労物質といわれる乳酸値が低く抑えられることを確認。運動時の活性酸素を素早く消去して筋疲労を和らげるとともに、乳酸値の上昇を抑えることで持久力も向上すると考えられ、世界的に有名なアスリートの中にもアスタキサンチンを摂取する人がいるという事実にもうなずけます。

過剰な紫外線を浴びたダメージが強く現れるのが皮膚。紫外線により大量に発生する一重項酸素やヒドロキシラジカルという活性酸素は、シミやシワの原因のひとつです。アスタキサンチンは、活性酸素の中でも特にこれらに強く働きかけることで知られ、美しい肌を保つためには欠かせない抗酸化成分です。

目には皮膚と同様に、常に紫外線にさらされており、活性酸素が大量に発生しやすい部位。アスタキサンチンは目の組織内に入って抗酸化作用を発揮するので、酸化を原因とする眼病や老化の予防にも効果があると考えられています。また、目は毛様体筋という筋肉を使ってレンズの厚みを変えることでピントを合わせています。アスタキサンチンは、毛様体筋の緊張・疲労を緩和。使いすぎによる疲れ目の改善にも役立ちます。

脳には、無用な栄養や有害な成分が入り込まないように血液脳関門があり、多くの抗酸化成分はここを通れません。アスタキサンチンは脳内に入れる数少ない抗酸化成分。脳内の活性酸素を消去することで脳をサビから守り、活性酸素が原因といわれている脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞脳出血など)の予防にも役立つと考えられています。

活性酸素は、体内のあらゆる細胞膜を酸化させてしまいます。中でも毒性が強いものは、ガンをはじめとする生活習慣病の引き金になるほど。アスタキサンチンは毒性が強い活性酸素にも強力に働きかけますので、生活習慣病を予防するだけでなく、細胞レベルのアンチエイジングで老化を予防すると期待されています。

血液中のLDLコレステロールが酸化すると、血管壁に入り込み、蓄積されると血管壁を傷つけ、動脈硬化の原因になるといわれています。アスタキサンチンの強力な抗酸化作用は、LDLコレステロールの酸化も抑制。動脈硬化の予防にもつながります。

活性酸素にはいくつかの種類があり、それらに有効に働きかける抗酸化成分も様々。そのため、いくらアスタキサンチンが強力だからといって、それだけで済ますのではなく、ビタミンC・E、ベータカロテンといった様々な抗酸化成分も、普段の食生活の中で意識して摂ることが大切です。