ツバメの巣

古来中国ではツバメの巣とフカヒレ、熊の手などが高級中華食材として宮廷料理や高級官史、貴族や豪商の宴席料理だけに使用されていました。特に燕が出る席を第一級の宴席に格付けしていたそうです。ツバメの巣は不老長寿の薬膳としても珍重され、健康を高め、宮廷のごく限られた女性たちに美貌と永遠の若さを保つために食されたと伝えられています。絶世の美女と言われ美しさでは群を抜いていた楊貴妃もツバメの巣を好んで食べていたと言われています。

ツバメの巣は、多くの種類の天然栄養素や鉱物質(活性たんぱく質、コラーゲン、カルシウム、リン酸、ナトリウム、カリウム、ビタミンA・B1・B2、鉄分)等を豊富に含んでおり、中国では古来から健康・美容食として珍重されてきました。最近では、良質なシアル酸が豊富に含まれていることが注目を集め、単なる高級食材としてだけでなく健康・美容に気遣うより多くの人に期待される食品になってきています。また、これらの栄養成分はその豊富な栄養素のため、中国では健康や美容に広く用いられており、中薬大辞典などに記載されています。

現在でも医食同源の中国では、ツバメの巣は、病後や体の弱ったとき、また普段の健康を保ちたいときなどに愛食されています。

古くから、ヨダレの多い赤ちゃんは丈夫で、ヨダレの多い牛は病気をしない、といわれています。歳をとって高齢になると唾液の出方が少なくなったり、ストレスがかかった状態や緊張時には喉がカラカラになり唾液が出なくなるように、唾液は健康維持に深く関わっていると言われています。現在食品として動物の唾液が利用されているのは、ローヤルゼリーと海ツバメの巣だけです。唾液にはシアル酸という糖質が含まれています。

シアル酸は主としてウイルスから脊椎動物にいたる動物の細胞表面にあって、糖タンパクや糖脂質、ムコ多糖などの複合糖質の構成成分として、重要な生物学的機能を担っております。シアル酸はまた細胞間の情報伝達などに関与する重要な活性分子と考えられています。このようにシアル酸は生物の殆どに存在して生物進化と共に歩んできたと言えるのですが、シアル酸が発見されたのは以外にも新しく1940年ころのことだそうです。

近年インフルエンザは世界的な大流行のきざしがあり、多くの人命が奪われる危険性を秘めています。1961年にはすでに海ツバメのシアル酸が各種のインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに活性であることも報告されています。今やシアル酸は今後の創薬化学の中心的化合物として注目されていると言っても過言ではないようです。この高い生理機能を持つシアル酸を最も有するのは燕の巣で、何とその含有量はローヤルゼリーの150倍以上もあるのです。